△日程第5 知事の
所信表明
○議長(
目黒武尚君) 日程第5、知事の
所信表明を行います。
平山征夫君。 〔
知事平山征夫君登壇〕
◎知事(
平山征夫君)
臨時県議会の開会に当たり、私の
県政運営に臨む所信と施政の基本的な
考え方の一端を申し述べ、
議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。 私は、去る10月に行われました
知事選挙におきまして、県民の皆様の御信託を得て、このたび新潟県第7代の
民選知事に就任いたしました。まことに身に余る光栄であり、心から感謝申し上げるとともに、21世紀に向けて、新潟県が大きく飛躍しなければならないこの重要な時期に、県政を担当する職責の重大さを改めて痛感しているところであります。 金子前知事の事件による突然の辞任は、県民に大きな衝撃と県政への不信を与えました。しかし、県政を担当された3年3カ月の間、
環日本海時代の到来に対応した新潟県の
拠点性の確立や、
県民福祉の向上などに積極的に取り組んでこられたことについては、評価すべき点が多いと思います。 私は、前知事が進められたこうしたよい面を継承し、これを将来に向けて一層発展させていく所存であります。県民の一人一人がこの地に生まれ、暮らすことに、心から誇りと喜びを感じられるようなやさしさと活力に満ちた「ニューにいがた」の建設に全力を注いでまいりたいと考えております。
県政運営に対する私の
基本的理念といたしましては、公正、かつ、クリーンな
県民参加型の県政を目指してまいるということであります。現在
国政レベルで、
政治改革をめぐって大きな議論が起こっており、これらを通じた浄化を強く期待するものでありますが、何といっても、私自身がみずから厳しく
政治倫理を守っていくことが大切であると考えています。 そして、県政は県民のためのものであります。そのためには偏りなく幅広い意見に耳を傾け、その中から県民の真の幸せのためにとるべき最も正しい方向を公正に見きわめ、勇気を持って実行してまいらなければなりません。それには、できる限り県内の各地域に足を運び、多くの県民の皆様と対話をし、さまざまな知恵をいただきながら、開かれた県政の実現に努めてまいります。 また、
県民参加とは
地域参加でもある、この認識のもとに、
市町村との連携をより緊密にして、個性ある
地域づくりが県内の隅々で花開くような県政を築きたいと考えております。 さて、時代は大きく転換しつつあります。国内では人々の
価値観の
多様化が進み、世界的には新しい
国際秩序の構築が始まっております。そして、世界の
緊張緩和の中で、
日本海が平和と交流の海に変わりつつあることは、本県にとって大変大きな意味を持っています。
太平洋側中心の
経済発展の時代が変わろうとしているのです。 そして同時に、今は「地方の時代」であります。このような環境の変化に県政が適切に対応することが、これまでにも増して重要な課題になっております。既成の概念にとらわれない柔軟な感性と発想を持ち、みずからの創意を発揮して道を切り開いていかなければならないと考えます。また、国に対しても主張すべきことは主張し、本県にとってより望ましい施策の実現を求めていかなければならないと決意を新たにしているところであります。 広大で多彩な県土を有し、豊かな自然と伝統ある文化に恵まれた新潟県は、今未来に向けてその
発展性の花を開こうとしております。私は、新潟県の持つこれらの財産を県民の英知とエネルギーとに結びつけることにより、活力あるふるさと
づくりを目指してまいりたいと考えております。 これを具体的に実現するための
中心的課題は、
日本海・
関越ベルト地帯の振興を図ることだと思います。
日本海側で唯一、
高速交通体系によって
関東圏と結ばれた地域であるという新潟県の
有利性を最大限に生かし、
日本海ベルトの
整備強化を通じて、
関越ベルトとの
結節点としての
拠点性を一層高めていくことが、本県の今後の発展のキーポイントと考えております。そして、このことが、ひいては県民一人一人のゆとりのある豊かな生活に結びついていくものと確信しております。 また、この構想の実現のためには、他県に先駆ける
独創性も大切ですが、今後は関係他県とともに歩む
協調性も必要になりましょう。他県との連携によって、
環日本海時代を地に足のついた一つのまとまりを持った動きに引き上げていくことが重要なことと考えております。 こうした理念のもとに、以下、県政における基本的な施策の方向について申し上げたいと存じます。 第1に、生涯学習、文化、
スポーツ施策を充実し、21世紀を担う心豊かで創造性あふれる
人づくりを進めます。 新しい新潟県
づくりの主役は県民一人一人であります。活力あるあすの新潟県を築いていくためには、県民が生き生きと充実した生活を送るための環境を整えるとともに、未来を託すことのできるたくましい体と優しい心を持った青少年を育成していかなくてはなりません。 まず、
学校教育については、一人一人の個性を伸ばし、
子供たちが将来の夢を実現できるような生き生きとした
学校づくりを進めるとともに、
学力向上、特に
大学進学率の向上のための諸条件の整備を図ってまいります。 また、地域と時代の
ニーズに応じた個性ある
高等教育機関の充実を積極的に支援し、地域に開かれた
高等教育の展開にも努めてまいります。 なお、
私学教育の振興につきましては、今後とも
助成内容の充実について力を注いでまいりたいと考えております。 さらに、県民のだれもが、いつでもどこでも学ぶことのできるような生涯学習の機会の拡充にも努めてまいります。 余暇時間の増加や
価値観の
多様化を背景に、心身の健康をはぐくむ文化や
スポーツに対する
ニーズはますます高まってきております。老若男女を問わず、県民のだれもが文化、
スポーツに気軽に親しみ、また快適に楽しむことができるような施設の
充実等、
環境づくりに努めてまいります。 第2に、お年寄りが健やかに、また、
障害者が安心して暮らせる人に優しい
福祉社会をつくってまいります。 人生80年という本格的な
高齢化時代を迎え、福祉の充実は
県民共通の願いであります。すべての県民が健やかに、そして、安心して家庭や地域の中で人々と触れ合い、生きがいを持って人生を送れるような
福祉社会を実現していかなくてはなりません。 このため、
社会福祉計画を着実にテンポを速めながら実施するとともに、計画の拡充についても、今後検討することとします。
社会福祉施設の整備や
在宅福祉サービスの拡充に加えて、生涯を通じた健康の保持、増進など、総合的な
保健医療サービスの充実に向けて、
地域保健医療計画を積極的に推進し、福祉、保健、医療が一体となった多様な
サービスの提供を目指してまいります。 また、
福祉社会を支える
マンパワーであるホームヘルパーや看護婦の
育成確保に努めるとともに、
福祉ボランティア活動の振興も図ってまいります。 真の
福祉社会とは、
高齢者や
障害者が同じ一員として、ごく普通にさまざまな活動に参加できる社会ではないかと思います。そうした社会をつくるために、積極的な施策を展開してまいります。 第3に、女性と男性が平等に
社会参加できる条件を整え、
男女共同参加型の社会を築いてまいります。 これからの新潟県において、女性の果たす役割はますます大きく、家庭や社会に男女がともに参画し、それぞれが自由に能力を発揮できる環境を醸成していくことが求められております。 女性が働きやすい
環境づくりを進めるとともに、女性の一層の
社会参加を促進するための施策にも、積極的に取り組んでまいります。また、男女がともに参加する社会を目指す活動と交流の拠点となる
女性センターの
施設整備を急いで行います。 第4に、
総合食糧基地としての本県の地位を一層確固たるものとするために、強い農業を目指して、あすに夢を持てる
農業県づくりを進めてまいります。 まず、本県の
基幹産業である農業については、全国的にも高い評価を受けている
新潟米の生産を基軸とする、これまでの農政の
基本方向を継承しながら、さらに、
農業経営強化のための積極的な施策の展開に努めてまいります。 私は、現在難航している
ガット農業交渉における
米輸入自由化論については、断固反対の姿勢を貫いてまいります。また、
次期転作対策に当たっても、
良質米生産県の立場が十分確保されるよう、
政府等に強く要請してまいります。
良質米生産体制の強化を図るため、各地域の特性や農家の実態を十分踏まえ、中核となる
経営体の育成や、それらを核とした先進的な農業の確立に取り組む地域を積極的に支援してまいります。 また、
農業所得の拡大のため、
複合営農の推進、高
付加価値型農業の展開、
基幹施設の整備による
生産性の向上、さらに、
ハイテク技術等の
研究開発を推進することとします。そして、意欲ある
農業人材の
育成確保のため、
関連施策の
連携強化を図ってまいります。 林業については、森林の整備、保全を推進するとともに、
水資源の涵養、
災害防止、県民が憩う緑の
創出等、森林の持つ
公益的機能の充実に努めます。 また、
水産業については、
資源管理型漁業への転換を一層推進するとともに、
後継者の育成や
試験研究の充実に努めてまいります。 なお、以上のような農政の推進に当たっては、国の新
農政プランについて、当県の農業、農村の実態に即した施策の
具体化が行われるよう、
政府等に要請してまいるとともに、
農業関係者とも十分に話し合いを重ね、
グリーンプランの
見直し作業を急ぐこととします。 第5に、
地場産業や観光の振興を図り、
産業構造の
高度化を推進し、地域に活力を生む
産業づくりに努めてまいります。
消費者ニーズの
多様化や経済の
ソフト化、
サービス化、
情報化等、
経済社会環境が大きく変化する中で、
地域経済の
自立化を目指して、当県の商工業は積極的な
体質強化を図っていかなければなりません。 このため、まず工業については、
技術革新の進展に応じ、
技術力や企画、
デザイン力の向上を図るため、
試験研究機関の機能の充実に努めるほか、産学官の
連携強化による
研究開発、人材の育成、
技術者交流などを効果的に実施していくための
テクノタンクづくりを前向きに検討してまいります。また、
先端技術型、
情報型企業を重点的に誘致し、
地場産業の
技術向上に資するよう連携を図り、
産業構造の
高度化に結びつけてまいります。 商業の振興については、地域の特性に応じたグレードの高い
商業集積機能や魅力ある商店街の整備を支援するとともに、
中小小売業の
体質改善が図られるよう施策を講じてまいります。 また、観光の振興については、
観光収入の倍増のため、
広域観光ルートの創出など積極的な
観光振興策を推進するとともに、
環日本海圏を初めとする海外からの
観光客の受け入れにも努めてまいります。 なお、ゆとりある
勤労者生活を実現していくため、労働時間の短縮を初めとした
労働環境の改善や、
勤労者福祉の増進に向けた施策を推進してまいります。 第6に、
生活環境の充実を図り、県土の特性を生かして、環境に優しい個性ある
まちづくりを進めてまいります。 近年、
都市生活の充実のために、快適で潤いのある
都市環境をつくり出すことが強く求められております。このため、
都市内道路網や下水道などの
都市基盤の整備や、業務、文化、情報を初めとするさまざまな
都市機能の集積を計画的に進め、
拠点性を高めていくほか、
県営都市公園の整備や新潟県
都市緑花センターを活用した
都市緑化を積極的に推進してまいります。 一方、
農山漁村や中山間地、
過疎地域は、
農林水産物の生産の場であるばかりではなく、
県土保全や自然との触れ合いの場としても重要な地域であります。県土の均衡ある発展のためには、これらの地域と都市とが相互に補完し、共生していくことが不可欠です。 若者の定住を促進し、地域の
活性化を図っていくために、
地場産業の振興と
生活環境施設の整備を一体的に推進するとともに、都市では得られない自然や文化を生かした個性的な
地域づくりに努めてまいります。そして、こうした
まちづくりを、
市町村の
創意工夫を尊重しながら支援していく施策を推進してまいります。 また、本県に住む私たちの生活は、雪とのかかわりを抜きには考えられません。親雪、利雪の視点を一層大切にするとともに、冬期間の
交通確保対策や
雪崩防止対策を初め、
克雪住宅の
本格的普及を進めることなどにより、雪国の暮らしの
利便性を向上させてまいります。 今日、環境問題は
地球的規模で考えなくてはならない大きな課題となっております。私たちとしても、公害の防止や
自然環境の
保全等については、できることから取り組んでいかなくてはなりません。このため、さきに設立した新潟県
環境保全事業団による
産業廃棄物処理施設の
計画的整備を支援し、地域での
環境保全に積極的に努めてまいります。 第7に、
国際交流を一層活発に推進し、
環日本海時代の到来に向けて、新潟県の
拠点性を高めていくための
ネットワークづくりに努めます。 急速に進展している
国際化に対応するとともに、それを地域の
活性化に結びつけていくためには、
官民一体となって
交流ネットワークを拡充していかなければなりません。また、
環日本海交流の拠点にふさわしい
中枢機能を整備し、当県が我が国における
環日本海交流の
最前線基地として、大きな役割を果たしていく必要があります。 このため、
日本海縦断道など
高速交通ネットワークの一層の充実により、
日本海沿岸地域と首都圏との交流の
結節点としての本県の
優位性を不動のものとするとともに、
日本海側のゲートウエーにふさわしい空港、港湾の整備及び
機能強化に努めるほか、
国際交流活動の
拠点施設の設置を急ぐなど、
交流ネットワークの形成のための
基盤整備を進めてまいります。 また、民間との連携を図りながら、本県と
友好関係にある
日本海沿岸諸国やイリノイ州はもとより、
東南アジア諸国にも交流の輪を広げていくなど、経済、文化、
学術等、幅広い分野にわたる
国際交流を進めていくとともに、
海外航空路や航路の拡充にも努め、
交流ネットワークのソフトの面についても充実を図ってまいります。
環日本海交流の
活発化を図るに当たっては、これまで以上に
近隣県との連携、協調にも努め、
環日本海シンクタンクの整備を通じて、
情報発信や研究、交流の中心としての役割も果たしてまいります。 以上、今後重点的に推進すべき県政の施策に対する私の基本的な
考え方を申し述べてまいりました。これらの施策を実現するには、多くの困難や試行錯誤もあろうかと思いますが、新しい世紀に向けて、県民一人一人の幸せを願い、県勢の発展のために全身全霊を傾けてまいる決意であります。何とぞ
議員各位並びに県民の皆様には、御理解と御協力を賜りますよう、ここに重ねてお願い申し上げる次第であります。 どうもありがとうございました。(
拍手) ――――――――☆――――――――
○議長(
目黒武尚君) 本日の
議事日程は終了いたしました。 次会は明11月17日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて
散会いたします。
△午後1時28分
散会...